ビョウインノゴハン’

病院調理のあれこれについて書く こるうすのブログ。

一年経過

このブログの最終更新からもう1年がたつ。

今札幌にいる。引越してきたのは今月の16日でもうすぐ2週間、まだ家の中開けてない段ボールだらけの状態だ。

そして長いこと病院の調理をしていない。辞めた訳では無い。

ざっくりここ一年の話

異動希望を上司に伝えたところ、俺の代わりの調理員を入れて、俺をその日足りないポジにぶっこむ、所謂なんでもやるマンに配置した。ひとまず異動するまでだ。

もう1年くらい、なんでもやるマンをやってきたが、このたびやっと異動になった。

東京以外どこでも良いって伝えていたが、まさかの札幌だ。別に良いけど。

病院の規模も小さくなった。

東京の大型急性期病院から北海道の100床程の病院へ異動する事になった。また調理員では無く、現場責任者という形で要するになんでもやるマンだ。

妻にも「また調理できなくて、それで良いの?」と聞かれた。

このブログも一応病院調理師のブログだったのに。読者いないから良いけど。

でも所詮サラリーマン、この道でやっていくと手前勝手に決めても、ある程度会社の都合に合わせて動いてやらなきゃいけない時もある。

思ってたのと違って方向転換しながら生きて行くって、良くあるってかみんなそうよね?

と自分で自分を納得させつつ、この調理師ブログあと2年早くやってたらバリバリ書く事あったなと後悔しつつ、こんな大移動について来てくれた妻に感謝しつつ。

このブログの方向性

これからは東京で人生の半分を過ごしてきた俺が、見ず知らずの北海道に引っ越してきて勉強になった事を中心に書くブログにして行こうと思う。

ぶっちゃけ似たような記事沢山あるってわかってる。実際それらで学んだ事もある。皆さんすごい読みやすくて勉強させて頂いてます。

なるべくすぐ更新する。

とりあえず近況だけ書いて今回は終わり。

炒めるまとめ

うちの病院は炒め物がかなりの頻度で出てくる。主菜となりうる回鍋肉や豚の生姜焼きなどのメジャーどころ以外に、副菜にも何かしらの炒め物が出やすい。体感では、1日3食のうち2品くらいは炒めてる感じ。

まあ、焼く煮る蒸すさし炒める揚げるくらいしかないはさはさはふさから、1日2しふすすさはさ回くらい炒め物が回ってきても別になんの不思議もない話だ。

しかし炒め物って難しい。家で数人分の量作るのでも、材料から水分が出て水っぽくなってしまうことってあるのに、これが200人分となったら出てくる水でマジで煮物が出来上がる。大袈裟でなく。炒めていたと思ったらいつの間にか煮ていた。俺の頭の中のポルナレフが何を言っているのかわからない。

この煮物状態になると、見栄えもびちゃっとして良くない上に、絡んでた味付けが食べるときに水と一緒に流れ落ちてしまうので結果的に味が薄くなる。

炒めは難しいのである。新人当初、よく失敗した。

やっと本題だが、実際にどうやって作ってるか書いていきたいと思う。工程としては、

  1. 食材を加熱する
  2. 水気を切る*1*2
  3. 加熱した食材と調味料を混ぜ合わせる

だ。加熱の際に出る水分を切っておく事により、前述の問題点をクリアできる。温かい和え物って感じだ。では以下に①食材の加熱。に関して、茹でる方法とスチコンを使う方法のパターンに分けて具体的に書いていく。

お湯で茹でる

キャベツ、ほうれん草などの葉物野菜。また、緑色が鮮やかなインゲン、ブロッコリー。これらは鍋で茹でる。注意する点として、柔らかくなり過ぎないようにすることと、色鮮やかに保つこと。変色を防ぐには、加熱後すぐ冷やすこと、お湯に重曹をごく少量入れることで防げる。

スチコンで焼く(コンビ)

玉ねぎ

220〜240°*3加湿60〜80%

外側は焦げやすいが、そのくせ内側まで火が通りにくく、生焼けだと辛くて主張が強すぎる。個人的には難しい食材。程よく焼いた時は玉ねぎにしかない甘さが出るのでそこを目指す。

ピーマン

260°加湿60%

色が鮮やかなピーマンは時間をかけると茶色っぽく変色しやすい。高温短時間でサッと火を入れる事によって変色しにくくなる。更にその後に冷やせば余熱で変色することも防げる。

スチコンで蒸す

にんじん

スチームモード100°

人参は焼かずに蒸す、と教わってきた。考えられる理由は

・色を鮮やかに保つため

・程よい硬さにするため

焼くとこれらが難しいのかも?

 

とりあえず今回は以上、スチコンは奥が深いのでまた追記するかも。

 

*1:手で絞るか重石を乗せて水を切る。でも力一杯搾り尽くすと旨みや栄養も出ていきすぎる。何事もやり過ぎは良くないという話。

*2:ブロッコリーカリフラワーなど形が潰れる食材は注意。ザルに開けるにとどめる。

*3:厚めなら220薄ければ240

病院食の展開のこと(調理師視点)

お疲れ様です。俺です。

今日は病院食の展開について、簡単に書いていこうと思う。

うちは急性期病院と呼ばれる、患者さんの出入りが割りかし激しいとこなので、毎日様々な容体の患者さんが運ばれてくる。

展開というのは、その患者さんがそれぞれ どこがどう悪いか違うから、その種類ごとに変化をつけて調理しようねって事を指す。

調理師視点というのは、栄養士さんほどよくわかってない…という言い訳的理由もあるが、より調理員的視点で、展開によって重視する箇所とか。その辺りを書けたらと思う。

書いてて思ったが、すごく長くなりそうだったのでざっくりと書いていきたい。

では以下から説明。

常食

普段食べてる食事と変わらないレベルのもの。油でガンガン揚げるし、味もちゃんと濃い(美味しい)。野菜も歯応えがあった方が良い和え物などはシャキッとさせる。

1番は美味しくさせる事を重視するし、1番数が多いのも常食。内臓系に問題は無い患者さんとか、怪我で入院してる方とかは、多分これ。多分な!

全粥

お粥食。分かりやすく言うと、具合悪いなーって時に消化の良いもの食べるイメージ。

主食はご飯→お粥にフォームチェンジ。例えば親子丼の時は、上の具を別皿に分けて提供。(これを親子煮と呼ぶ)*1

歯応えがあるものは柔らかめに仕上げるし、揚げ物や、消化に悪い食材はNG(きのこたけのこ等)

エネルギー制限/塩分制限/タンパク質制限

エネルギー(=糖質)制限は、砂糖に代わる甘味料を使ったりする。この人たちの酢の物には砂糖が入ってないから味がなんというか、かなり違う。砂糖って美味しいんですねって再認識。

塩分制限は、そのまんま、薄味。

ただ、薄味でも美味しく食べて貰えるよう努力はしてる。例えば煮物だったら出汁をしっかり効かせるとか。限界は、あるけども。ぶっちゃけてしまうと、

作る側も美味しさよりも薄味である事を重視する。

常食よりもちゃんと薄くなってるかな〜って部分。味がする=美味しいのは周知の事実だものね。

タンパク質制限は、この人たちは上記2つの制限とは(調理側からすると)毛色が違って、例えば焼き魚が、魚のフライになったりするし、切干大根の煮物が、はたまたスパゲティソテーになったりもする。献立がまるっきり変わる=品数が増える事と同義だったりするので単純に大変だったりする。

ちなみにエネルギー+塩分制限とか、タンパク質+塩分制限とかもあるので、多少複雑。

以上が、大まかな展開であるが、脂質制限などの一定数の少ない展開は省略。

 

この上に更に形態の展開が絡んでくるが、それはまた今度書こうと思う。

*1:中華丼の時は、八宝菜と言い切る。異論は認める。

自己紹介と、ブログの説明

はじめまして。都内の病院で患者さんに向けたご飯を作っている、男、調理師。調理師免許は一応所持。今の現場で約2年経過。

食数は変動はあるけど大体300〜350食を2人もしくは3人がかりで1日3食作る。

集団調理の現場は二ヶ所目だが、以前いたところは盛り付けメインだったため、ガッツリ調理員、というのは今の職場が初めて。この世界に入る前の職は調理とは全く関係ない業種。noob調理師である。

あと直営ではなく、委託会社勤務という形。

病院の栄養士さん>うちの会社の栄養士さん>調理師さん(俺さん含む)

といった感じの力関係。

では、以下にこのブログを設置した理由を書きたい。

違う、クックパッドじゃない。

例えば肉じゃがを作るとして、もう少し汁気を増やしたいなとか、じゃがいもだけ味が染みてないだとかってことが結構ある。

うーむ、と思って調べてもネットにあるのはほぼ(家庭用)肉じゃがを作るコツ。

違う、それじゃない。

鍋も使うけどスチームコンベクションオーブン(以下スチコン)も使用するし一般的な調理と集団調理との差はとてつもなく大きい。

いや、スチコンレシピとかもあるよ?でもスチコン  だけ  ってあまり美味しくないじゃん…

とあまり参考になるものがなく(使ってる器具が現場によって違うから当然といえば当然なのかもしれないが)

他の現場ではどういう風に作ってるのか知りたい!とは思っていた。

だから、自分は日々の調理業務で気付いたことなど書いてみようと思ったのだ。自分と同じ思いの人達の参考になれば幸いと思っている。

ただ、繰り返すが元々レストランで修行していたわけでもなく料理に関するスキルなど何もない全くの素人が、今の現場で調理師としてたかだか2年。

色々おかしいところはあると思う。そんな内容の話を正直公開するのはどうなのか?とは思っていたが、

まあ、いいか、と。

単純に、自分の為に、備忘録にという目的もあるし(そっちがメインの理由だったりして)

ほぼ毎日のことだが、今日は全て上手くいった!という感触は無い。もうちょっと味入れたい*1だとか、キャベツ柔らかくしすぎたとか何かしら反省点はある、はず。

この日はこうやって上手くできなかったから次はこうやってみよう。上手くいったんだとしたらどうやって作ったか忘れないようにしたいよね。

という未来の自分に宛てたものになるだろうと思っている。

あとはもっと単純に、文字を書くことで頭を整理したい。頭で考えてることは、考えてるだけでは何も残らないことが多い。忘れるし。誰かに話したり文字に起こしたりして初めて先に進む。

だがしょっちゅう人と話せるかというと実際そうでもなく。

調理の仕事を通して考えた事を、整理する場としてこのブログを設けた。

スキル的に、おかしな日本語でだらだら書き殴るだけのブログになる気はするが、出来るだけわかりやすく読みやすい文章を書いていきたい、とは思っている。

*1:塩入れればいいって訳にもいかんのが病院調理のつらいところ